お手本は旦那様。

うつ、パニックを経験してやっとがんばることをやめた。「自分を知る」を続ける39歳女性の記録。

親世代の言うことを鵜呑みにしてはいけない

私たちは様々な過渡期に生きている。

人生の様々な場面で、自分の親の価値観に影響されると思うが、仕事においても、結婚においても、金銭感覚においても、30代の私に60代の親の『当たり前』が『当たり前でない』ことを感じる。

仕事では、私たちは就職氷河期世代だ。正社員で働くのは当たり前ではない。また、正社員になれても、新入社員時代に受けてきた新人教育もかつてほど手厚くない、もしくはほとんどない。

今では人材が足りないと言われているが、私が就職活動をしていた時、人材は余っていた。12年ほど前の話だ。あの当時、団塊の世代が大量定年するから採用数も少し増えると言われていたがさほど増えなかった。会社が新しい人を雇える余力を持っていなかった。なので定年する人の再雇用が進んだわけだが、その時再雇用された方々ももう70代だ。リタイアする人も多いだろう。そして今言われていることは、30代、40代の管理職が育っていないから任せられる人がいないというのだ。今更なにを言っているんだろう。育っていないのではない、育てなかったのだ。団塊の世代が大量定年するのは分かっていたことだ。再雇用した人たちが歳をとり、いつかは辞めることも分かっていたことだ。なぜ若かった私たちに職を与えてくれなかったのだ。今更任せられないと言われてもこちらも困る。

 

そんなわけで、いわゆる結婚適齢期、出産適齢期と言われる世代の年収が下がった。平均年収は600万から400万になった。ネットを徘徊すると「結婚は贅沢品」という人までいる。私の周囲にも経済的な理由で子供を持たないと決めている人もいる。「結婚、子供、家、車、長生きが人生の経済的5大リスク」とする経済の専門家による記事も見た。それなのに、いまだに「結婚、出産して当たり前」と言われる。

母の世代では20代で結婚し、2~4人の子供を持つのが当たり前だった。お見合い結婚と恋愛結婚が半々くらい。結婚後、専業主婦になる人が多かった。私の母は違うが、学歴、収入、身長の3高、長男かを気にするのもこの下の世代からよく言われ始めたことだ。実際、今でもマッチングアプリや結婚相談所ではこのような項目がある。

婚活におけるこのようなスペックは幸せな結婚をしたいという願いを叶えるための一つの指標ではあろうと思う。実際、収入は低いより高いに越したことはない。しかし、結婚後の生活は楽しいことばかりではない。「健やかなときも病めるときも」というように、苦しい時もある。そんな時に、「この人となら乗り越えられる」「この人と一緒なら苦労してもいい」と思える人、そんな人をスペックだけで見つけられるだろうか。

結婚は縁、相性だと私は思う。昔から言われている価値観ではなく、自分の価値観で結婚を決めたい。

 

結婚後の仕事、家事、育児に関してもそうだ。親世代では大多数を占めた専業主婦だが、今では逆転し、共働きが当たり前となった。親世代では夫1人で稼いだ年収を、子世代では共働きで稼ぐという経済的な理由もあるし、女性の社会進出が進み、キャリア形成が当たり前になったということもある。それなのにいまだに家事、育児は女の仕事という風潮である。それは男性も女性も専業主婦の母、全く家事、育児をしない父を見て育っているからであろう。

女性が男性並みに働きながら、専業主婦の母並みに家事、育児をする。はっきり言って、過労死します。一方で男性が今まで通りに働きながら家事、育児をする。これもきつそう。だからお互いが仕事と家庭のバランスを調整する必要があると思う。

 

さきほど「結婚、子供、家、車、長生きが人生の経済的5大リスク」と言ったが、つまりはお金の使い方も変わってきているということだ。

特に、家と車に顕著だろう。親世代は「夢のマイホーム」という価値観を持っていて、実際、私の父も平屋だったため、長年2階建てに憧れがあり、定年間近でその夢を叶えた。車はセダンが好きだったので、大きい車は乗っていなかったが、子供の頃、なんとなく大きい車に乗ってる方がすごい感を同級生の男子たちから感じていた。

でも、今の収入低下の中で、親世代と同じようなお金の使い方ができるだろうか。もちろん、必要なら買えばいい。

例えば子供部屋のある家。実際使うのは10年くらいだ。たった10年のために35年ローンを支払い続けるのか。それだったら、その間、賃貸に住めばいい。持ち家が必要なのは先祖代々の土地を持っている人と高齢者だけではないか。

車は家族が多ければワゴン車が必要になってくるだろうが、そうでないなら軽自動車でいい。税金も安いし、燃費もいい。私は移動手段としか思っていない。

さらに長生きのリスクは親世代は知らない危機であり、これからそれに直面していく。ただ、老後の資金をこれから準備するのはなかなか難しい。これから老後破産する人がバタバタと出てくるだろう。生き残れるのは、年金制度を理解し、生活費の計算をして着実に貯めていた人だけだ。

 

このように、私たちは過渡期を生きている。親世代の言うことを鵜呑みにして人生を決めてはいけない。

自分には何が必要なのか、何に時間とお金をかけたいのか、じっくり自分と向き合って考える必要がある。