お手本は旦那様。

うつ、パニックを経験してやっとがんばることをやめた。「自分を知る」を続ける39歳女性の記録。

「うつさない」という言葉

新型コロナウィルスの流行の第二波が来たような状況ですが、よく「他人にうつさないように」という言い方をする。

この言葉は「他人にうつされた」を連想させる。

こういう言い方はもうしない方がいい。

自分が感染するかしないかは、ウィルスの感染力がエボラ出血熱くらい高くない限り、自分の免疫力による。新型コロナウィルスの感染力はそこまで高くない。また、死亡率は季節性インフルエンザより低い。最近ではインフルエンザと診断されたら医師の指示通り10日ほど出勤しなくていいと言われるようになったが、ちょっと前までは「それでも出勤しろ」と言われていた。そんな扱いだったインフルエンザより低い死亡率の新型コロナウィルスにどうしてここまでの事態になったのか、私には理解できない。

こう言うと「未知のウィルスでどう対処すればいいか分からないところが多いし、ワクチンや特効薬もないからでしょ」と言う人がいる。

私は15歳の時から病院に行っても診断のつかない、よく分からない頭痛に毎日悩まされ、さらにはよく分からない抑うつ状態が続き、学校にも満足に通えない日々を過ごした。どう対処すればいいのか分からない中でも毎日の生活はしないといけないし、やるべきことはたくさんある。周囲の理解は得られない。孤独な戦いを経験した。

20歳、21歳の時にやっと診断がついて、付き合い方や症状を緩和する方法を知ったが、ワクチンや特効薬はない。死にたい気持ちを乗り越えてきたし、症状のために社会的に死んできた。いつか死ぬ覚悟はできてる。不安な気持ちや悔しい思いももちろんあるが、その中でやれることをやっていくしかない。

こういう経験があるせいか、私は「感染するかしないかは自分の免疫力次第。どんなに気を付けていてもかかる時はかかるし、死ぬ時は死ぬ。医療体制が十分でない国なら死ぬ病気かもしれないけど、日本は医療レベルが地方でもまぁまぁ高い。その時はその時」と思っている。

ただ免疫力の低い乳幼児や高齢者、抗がん剤治療中の人や、そういう人を家族に持つ人と接する時は気を付けている。戦える免疫力が低いし、不安な気持ちには寄り添うべきだ。私も今の気持ちになるまで、特に診断がつくまでの5,6年は不安定だった。安定するまで時間がかかるということも経験上知っている。

 

つまり不安が問題なのだ。不安な気持ちが今の状態にさせた。自粛警察と呼ばれる過剰な行動もその表れだと思う。

そんな時に「うつさないように」などと言われると「うつされる」と思ってしまう。「もし自分が感染したらそれはうつした人のせいだ」と。

だから自粛警察という行動をとる。他人の行動を批判し制限しようとする。

でも本当は感染したのは自分の免疫力がウィルスに対抗できず侵入を許してしまったからだ。つまり自分のせい。

人は何か悪いことがあったら他人のせい、良いことがあったら自分のおかげと思いやすい。悪いことがあって、その理由が自分だとは思いたくないのだ。

だったら良いことがあっても悪いことがあっても全部自分のせいと思えばいい。

自分軸で生きるということだ。

自分に集中していれば芸能人の不倫やSNSでの発言が気になることはない。「そういう一面もあったのね」「あなたはそう思うのね」で終わりだ。

自分の選択や自分の判断を他人に委ねてはならない。全ては自分のせい。責任は自分が取らなければいけない。他人の意見を鵜呑みにしてもいいけど、それで取った行動の責任は自分にある。「あなたがそう言うからそうしたのにどうしてくれるの」と思うかもしれないけど、他人は自分の人生に責任は取ってくれない。自分の人生をどうにかできるのは自分だけだ。

「うつさない」という言葉は「他人のせいにする」気持ちを助長する。使わない方がいい。