お手本は旦那様。

うつ、パニックを経験してやっとがんばることをやめた。「自分を知る」を続ける39歳女性の記録。

秋分の手放し

4月に年度が替わり、チームが変わった。

新しいチームSV(スーパーバイザーの略。チームのリーダー)、新しいメンバーに慣れていくと共に、他チームの人だけど席が近いから話す機会が増えた人とも挨拶程度だが言葉を交わすのも慣れてきた。

だが、その中に5ヶ月経ってもうまくいかない人がいる。

仮にAさんとしよう。

Aさんは隣の島のSVだ。

基本的に、応対時に何か分からないことがあれば、自分のチームのSVに質問に行くが、休みだったり手が空いていなかったりしたら、別のSVに質問に行く。

Aさんは隣の島にいるので、質問に行く機会が多い。

SVは他にも10人以上いて、誰に質問してもかまわないのだが、それぞれに聞き方に特徴がある。

「質問いいですか?」と声をかけたら「はい、いいですよ」と答える人、「SVは質問受けるの当たり前だから、いいですかって聞かなくていいよ」と答えた人、「いいですか、じゃなくて普通に質問していいから」と答えた人。

どんな質問でも必ず証券番号の聞き取りをする人、とりあえずいったん全部話を聞く人、成長を目的に自分ではどう考えるかを聞き返す人、資料を取り出して根拠を示す人…

私は元々の性格として不安が強いし、小さな違いが気になって確認が必要なため、質問に行くときは暗い雰囲気になりがちだが、暗い雰囲気ではなく明るい雰囲気で質問に行った方がいいSVもいる。

Aさん以外にも2人、うまく話せないSVがいたけど、話し方や話すタイミングを工夫して、あと多分相手も気を遣ってくれて、今は話せるようになった。

だけど、Aさんはどうがんばってもうまくいかなかった。

質問する時は必ず証券番号を先に言う。不明点は最初に簡潔に。些細な質問、確認のための質問なら初めにそうだと言う。動きのアクティブさと心のオープンさは比例しているようなので、質問に行くなら動いている時に。暗いより明るい方がいいみたいだけど日による。証券番号を伝えてお客さま情報を開いている間に用件を話していいか黙っていた方がいいかも日による。

その日の気分で態度が変わるのかとも思ったけど、常にSVとしてあるべき姿でいなければという責任感からか、気分は表には出てこない。ただ、それが逆に厄介だ。

初めて経験した内容だと分かればしっかり教えてくれるし、体調が悪いときには世話を焼いてもらった。お客さまのお叱りを受けた時には見守ったりアドバイスをもらったりした。

だが、ここ1ヶ月くらいは特にうまくいかず、些細な質問には「何を聞きたいのか分からない」と言われたり、質問を最後まで聞いてもらえなかったりした。

自分のチームSVにも相談したが、「質問の仕方を工夫してみたら」と言われた。

 

どうにもうまくいかないので、これは目の前の問題が問題なのではなく、これを機に内観する機会が与えられているのでは?とも考えた。

確かにAさんのSVとしての責任感から肩に力が入って隙の無い感じは、私と少し似ているところがあるし、私もSVさんに完璧さを求めすぎていたかもしれない。

私の完璧さや正確さを求める性格は、保険の契約という正確さを求められる仕事には活かされる部分が多いように思う。確実なご案内に努めるあまり不安を感じ、その解消のためにSVさんに質問に行くこともある。オペレーターが自信をもってご案内できるように背中を押すこともSVの仕事のひとつだとは思うが、SVも不安をもっているとしたら他人の不安まで持ってあげることはできないだろう。私の「確実なご案内をしたい」という気持ちがプレッシャーに感じるかもしれない。

完璧を求める気持ちを少しずつ手放そう…

そう思いつつ過ごしていると、質問に行く機会が減り、モヤモヤすることも減っていったけど、質問すればやっぱりうまくいかず…

 

そして1週間前、ついに私のモヤモヤが頂点に達した。

自分で引受要領を調べ、お客さまのお困りごとにこれが関係しているのではという項目があったので、「これが関係していますか?関係しているならこうご案内しようと思いますが合っていますか?」とAさんに質問した。

するとAさんは私の話を最後まで聞かず、「関係ないです」と答えた。

え?と少しフリーズしたが、しかし食らいついて「ではお客さまが今日にでも手続きしようと思えばできると」「手続きできますとお答えしていいんですね?」と二重に確認した。

Aさんは「できます」と答えた。

じゃあ…とお客さまに折り返しご連絡したら「でも〇〇っていうエラーメッセージが出たんですけど」と。その内容は私が調べてAさんに確認した内容だった。

やっぱり関係あるんじゃん!!!

一瞬怒りで声を荒げそうになったけど、お客さまと電話が繋がっているので踏みとどまった。

また、私がご案内した内容と、お客さまが体験した内容に食い違いが起こっている状態なので、それを解決してご案内する仕事が私にはあった。

なんとか収拾してご案内を終了し、電話を切った。

本人に伝えようかとも思ったけど、やめた。

今は冷静に話せない。喧嘩をふっかけに行くだけだ。

とりあえずこの応対の履歴をコピペして、あとでチームSVに正しい内容を確認しようと思ったが、ちょうどAさんが休憩の間に、昨年お世話になったSVさんに質問できた。

私の認識でご案内しても間違いではなかったが、一部認識に誤りがあった。やっぱりきちんと確認して勉強できてよかった。

 

だが2、3日はずっとムカムカしてた。なのでその間に会った人みんなに相談した。

するとこう言われた。

「アサヒは自分の仕事やってて、分からないところはちゃんと確認した上で案内したんだよね?だったらもしそれでクレームになったとしても、アサヒは『Aさんに確認してご案内しました』と言えばいい。上司は責任取るのも仕事だから。アサヒは責任取れる立場じゃないでしょ?『責任取ってくださいね』って意味で確認する、くらいの気持ちで質問に行ったら楽じゃない?」

なるほど、と思った。確かに私は取らなくていい責任を自分から取りに行こうとするところがある。

で、こう言われて納得したよって夫に話したら「俺も前に同じこと言ったことある」って言われた。どうやらまた同じところに迷い込んでいたようです…

 

それからまた2、3日後、ふと、こう思いました。

「これは私の課題ではないのではないか」って。

私も以前2回ほど経験があるのですが、「私がいつまでも変わろうとしないから、神様があの人を悪者にして、私がぶちぎれることで変わることを決めた」ってことがある。

もしかして私はAさんのための悪者だったんじゃないかと。

だから、あーしてもだめ、こーしてもだめだし、あーだこーだしないでおこうとしてもだめだったんじゃないかと。

もしそうなら「これは私の課題ではありません」「あなたの課題はあなたでやってください」と切り離していい。

この苦しさを手放していいのだ。

『責任取ってくださいね』ってつもりで質問に行くっていうのも、結局同じことかもしれない。

 

そんな気付きのあった今年の秋分でした。

まぁ、私が変わったら多少相手の反応も変わる可能性はあるけど、そんな劇的に変わるわけでもないだろうし。

期待はせずに、私は淡々と悪役は降りて、自分の体と心を整えることに集中するだけです。

人それぞれに課題があって、成長があるだろうから。

お互いの成長と生きやすさを願って。